Experience is the Best Teacher !

今日は振動シミュレーションのトレーニングプログラムをご紹介したいと思います。

「製品開発にコンピュータシミュレーションを活用しよう」、と考えたとき、様々なHow toやWhat isが出てくると思います。筆者自身もシミュレーションの仕事をはじめた頃、たくさんの専門用語が出てきて、最初はその意味さえわからず戸惑った記憶があります。それはちょうどPCが普及し始めた1990年代、CPU、HDD、RAMといった略語から、ブラウザ、メーラーといったカタカナまで、用語の意味からしてわからず、どれにしようか迷ったのと同じような体験です。PCの場合、思い切って購入し実際に操作しているうちに、いつしかそれらの意味を考えることもなくなっていたわけですが、コンピュータシミュレーションに関しても往々にしてそれに似た部分があるように思います。

そういった経験に着想を得て、2008年からほぼ毎年開催させていただいているのが今日ご紹介するトレーニングプログラム「NX Nastranハンズオンセミナー」です。

本プログラムの目的は、振動シミュレーションをお客様の製品開発で活用していただけるようになっていただくことです。したがって振動解析のABCとシミュレーションの最低限必要な知識を習得いただいた後は、演習によって実践力を付けていただきます。経験値を上げることでマスターするというアプローチです。「習うより慣れろ」ということわざがありますが、本プログラムもまさにそういったコンセプトでプログラム全体が構成されています。

もし、ご関心がおありでしたら、下のリンク(エアロメカホームページ)をご覧になってみてください。開催は11月11日(水)~12日(木)の2日間です。

「NX Nastranハンズオンセミナー 振動解析/基礎・応用」-開催概要

【カバー写真】 シミュレーションソフトウェア”NX Nastran”は、様々な構造解析を可能とするソフトウェアで、今では世界中の製造業で活用されています。Nastranはかつて高価なUNIXワークステーションでしか動作しませんでしたが、Windows版が登場して以来、通常の事務用PCでも動作するようになったことで、急速に普及しました。写真は試供版をノートPCにインストールし、セミナー例題を実行した結果です。

※Nastranは米国Nasaの登録商標です。NX Nastranはシーメンス社の登録商標です。

Sim. Based Vibration Design

来る11月4日(水)に技術セミナーを開催いたします。「振動設計とシミュレーション」~製品開発におけるシミュレーションの活用法、と題しまして、振動設計の考え方や振動シミュレーションを用いる上での各種ポイントをご紹介いたします。

振動には、製品の使い心地に影響するものから製品不具合につながるものまで様々な現象がありますが、いずれも剛性・慣性・減衰といった要素によってその性質が決まってきます。シミュレーションはそれらの要素を幾とおりにも変えて現象を予測できることから、製品開発においては有効な手段ではありますが、使い方によってはその効果が得られないケースも実際あると思います。本セミナーではそのような実務で遭遇するような課題を取り上げながら、効果的活用法を学んでいただけるよう企画しました。お客様の製品開発にお役立ていただけましたら幸いです。

開催会場など詳しくは、下のリンク(エアロメカホームページ)をご参照ください。開催は2015年11月4日(水)15:00~18:00です。

「振動設計とシミュレーション」-開催概要

※追加開催が決定しました。開催日は11月26日(木)です。

☆本セミナーで扱う内容☆ Nastran振動解析(ノーマルモード解析[固有値解析]、周波数応答解析)、モーダル解析、実験モーダル解析(モーダル実験)、構造最適化解析、フリーフリー条件、固有値マップ、ノーダルマウント、回転次数成分、コンポーネント感度、等

【カバー写真】 本セミナーで扱う事例モデルをタイトル画像として用いてみました。振動モデルは剛性や慣性など特性値を正確に表現することに重点をおきますので、写真左側の押し出し型材で構成されたような製品をモデル化すると右側のようなモデルになります。外観上はかなりシンプルに見えますが、これで実機の振動特性をシミュレーションできるようになります。※写真中の実機とモデルは仕様が異なりますので、イメージとしてご覧いただければと思います。

Flutter Analysis

9月12日(土)に開催させていただきました技術セミナー「零戦の振動」におきまして、お時間の関係で十分にご説明できませんでしたフラッタ解析に関する補足説明を本ブログに掲載させていただきます。

フラッタとは、飛行速度がある速度に達すると主翼や尾翼などの振動が発散して構造破壊に至る現象です。フラッタ解析はその構造破壊がはじまる速度(フラッタ速度)を予測するために行いますが、具体的には主翼や尾翼などの固有モードの減衰がゼロとなる速度を算出します。フラッタ解析に必要な情報は、構造を模擬したシミュレーションモデル(Figure 1)と解析条件(飛行高度など)です。

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Figure 1. 例:主翼のシミュレーションモデル(有限要素モデル)

これらを用いてフラッタ解析を実施すると、Figure 2に示すような2つのグラフが作成されます。この例では、Mode1、Mode 2という2つの固有モードの構造減衰係数および共振周波数が飛行速度の上昇に伴ってどのように変化するかを表しています。

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Figure 2. 例:フラッタ解析結果

上側の「速度-減衰 (v-g plot)」からフラッタ速度を判定します。グラフの線が構造減衰係数=0 (または、任意の減衰係数)となる飛行速度がフラッタ速度で、これより速度を上げていくと機体に構造破壊が生じることを意味します。これに対応した共振周波数の変化が下側の「速度-共振周波数(v-ω plot)」です。(ω:「オメガ」と読みます)

ここで登場する構造減衰係数や共振周波数は、モーダル解析(※1)におけるそれとは少し意味合いが異なりますので、以下に補足しておきます。

※1) モーダル解析:構造物の共振周波数や固有モード(振動形態)などを求める解析手法で、モード解析ともいいます。

  1. 構造減衰係数: 構造減衰係数とは、一般的には構造部材や結合部などで発生する減衰のことで、構造によって決まる値です。フラッタ解析の場合、この構造減衰に空気力による減衰を含めた減衰特性を構造減衰係数として定義しています。
  2. 共振周波数: 共振周波数とは、一般的には構造固有の振動数のことで、各固有モードによって決まる値ですが、何らかの力が作用した状態では共振周波数は変化します。フラッタ解析の場合、空気力が作用した状態での共振周波数が算出されます。

以上のように、フラッタ解析結果を見るときには、速度によって変化する空気力(※2)が作用している点にご留意いただくとわかりやすいかと思います。

※2) 空気力は速度の2乗に比例するため、速度が大きくなれば減衰力も大きくなります。減衰力が大きくなるのになぜ振動が発散するのか、ということですが、これには翼の複数の固有モードの位相が関係しています。たとえば、曲げとねじりの2つのモードが存在したとすると、それらの位相によっては振動が減衰する場合とそうでない場合が現れます。つまり、フラッタが発生するには、2つ以上の自由度をもつ振動系であることが条件となります。

零戦の振動 Ⅰ – 機体編

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先日の土曜日に技術セミナー「零戦の振動」を開催させていただきました。ご参加いただいた皆様、本当に感謝しております。ありがとうございました。そして、今回残念ながらご参加できなかった皆様、次回開催時には再度ご検討いただけましたら幸いです。

当日は前日まで続いた雨もあがり、夏に逆戻りしたような1日でしたが、零戦が零式艦上戦闘機として制式採用された7月もそのような暑い日だったかもしれません。今回のセミナーでは、飛行試験時の天候や日付などをできる限り正確にお伝えすることを念頭に準備をしてきたのですが、それらの情報を得るのが思った以上に難航し、何冊もの文献に目を通しながらなんとかまとめることができました。

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今回、このような技術セミナーを開催させていただくことに至った経緯についてもここでお伝えしておきたいと思ったのですが、夜中になってしまいましたので、今日の続きはまた来週書きたいと思います。

To be continued..

つづきはこちら

【カバー写真】 画像は2013年に「所沢航空発祥記念館」で撮影させていただいた米国プレーンズオブフェイムの零戦52型です。本機は今日飛行可能な零戦の中で唯一、オリジナルの栄21型エンジンを搭載した機体です。現在でも米国のエアーショーで飛行していますが、1978年と1995年に日本でも里帰り飛行しました。今後の帰省?が楽しみです。