Flutter Analysis

9月12日(土)に開催させていただきました技術セミナー「零戦の振動」におきまして、お時間の関係で十分にご説明できませんでしたフラッタ解析に関する補足説明を本ブログに掲載させていただきます。

フラッタとは、飛行速度がある速度に達すると主翼や尾翼などの振動が発散して構造破壊に至る現象です。フラッタ解析はその構造破壊がはじまる速度(フラッタ速度)を予測するために行いますが、具体的には主翼や尾翼などの固有モードの減衰がゼロとなる速度を算出します。フラッタ解析に必要な情報は、構造を模擬したシミュレーションモデル(Figure 1)と解析条件(飛行高度など)です。

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Figure 1. 例:主翼のシミュレーションモデル(有限要素モデル)

これらを用いてフラッタ解析を実施すると、Figure 2に示すような2つのグラフが作成されます。この例では、Mode1、Mode 2という2つの固有モードの構造減衰係数および共振周波数が飛行速度の上昇に伴ってどのように変化するかを表しています。

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Figure 2. 例:フラッタ解析結果

上側の「速度-減衰 (v-g plot)」からフラッタ速度を判定します。グラフの線が構造減衰係数=0 (または、任意の減衰係数)となる飛行速度がフラッタ速度で、これより速度を上げていくと機体に構造破壊が生じることを意味します。これに対応した共振周波数の変化が下側の「速度-共振周波数(v-ω plot)」です。(ω:「オメガ」と読みます)

ここで登場する構造減衰係数や共振周波数は、モーダル解析(※1)におけるそれとは少し意味合いが異なりますので、以下に補足しておきます。

※1) モーダル解析:構造物の共振周波数や固有モード(振動形態)などを求める解析手法で、モード解析ともいいます。

  1. 構造減衰係数: 構造減衰係数とは、一般的には構造部材や結合部などで発生する減衰のことで、構造によって決まる値です。フラッタ解析の場合、この構造減衰に空気力による減衰を含めた減衰特性を構造減衰係数として定義しています。
  2. 共振周波数: 共振周波数とは、一般的には構造固有の振動数のことで、各固有モードによって決まる値ですが、何らかの力が作用した状態では共振周波数は変化します。フラッタ解析の場合、空気力が作用した状態での共振周波数が算出されます。

以上のように、フラッタ解析結果を見るときには、速度によって変化する空気力(※2)が作用している点にご留意いただくとわかりやすいかと思います。

※2) 空気力は速度の2乗に比例するため、速度が大きくなれば減衰力も大きくなります。減衰力が大きくなるのになぜ振動が発散するのか、ということですが、これには翼の複数の固有モードの位相が関係しています。たとえば、曲げとねじりの2つのモードが存在したとすると、それらの位相によっては振動が減衰する場合とそうでない場合が現れます。つまり、フラッタが発生するには、2つ以上の自由度をもつ振動系であることが条件となります。

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