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実稼働振動の計測

モータやエンジンなど回転機械が実際に稼働しているときの振動のことを実稼働振動といいますが、日ごろから実稼働振動を把握しておくことは機械の運用においてとても大切です。

最近、「音が大きくなったような気がする」、「加工不良が多くなったような気がする」といった「気がする」は機械の故障の前兆であることが多く、そういった感覚を活かすためには定期的に実稼働振動を計測して数値化しておくことが有効です。

モータやエンジンなどの起振源が稼働しているときの振動はとても複雑な波形となり、一見ランダムな波形のように見えますが、測定点や回転数といった計測条件を決めておくことで、新品のときには無かった周波数に大きな振動ピークが現れたり、ある特定の周波数の振動レベルが大きくなるなど、様々な変化を把握することができます。

新たな周波数に振動ピークが現れる場合は、起振源やその周辺構造に変形や破損が生じている可能性があることを示し、振動レベルが大きくなっている場合は、アンバランス量が大きくなっている可能性があることを示します。

飛行機の舵面の動き

書籍「零戦の振動」の補足情報として、舵面(操舵面:エルロン, エレベータ, ラダー, フラップ)の動きがおわかりいただける動画をYouTubeチャンネルに掲載させていただきました。ご参考にしていただけましたら幸いです。

飛行機の舵面は小型機から大型機まで、この零戦の動画と同じ動き方をします。そして、ご存じの方も多くいらっしゃることと思いますが、大型機の場合は、さらにスポイラおよびスラットという舵面が主翼に装着され、減速やターンをアシストするように作動します。

※ターンの最中、実機では高度低下を防ぐためにエレベータをアップにしますが、模型ではその動きが再現できておりませんので、その旨ご留意ください。

モデルコリレーションは正しい実験から-02

解析精度向上における実験の重要性

NX Nastranで振動解析を行う場合、正しいモデル化を行えば実機振動を高い精度で再現することができます。しかし、複数の部品で構成された構造物に関しては、解析結果が実験結果を精度良く再現しない場合があります。原因は多くの場合、実機が持つ部品結合部の非線形性やそれによる実験データの精度低下にあります。解析精度向上を目的に行うモデルコリレーションを前提に実験のポイントをご紹介します。

1) 実験データの精度向上

>>ひとつ前の記事をご覧ください。

2) 実験供試体の前処理

実験データの線形性を確保するには、実験供試体の持つ非線形性を極力無くしておくことが大切になります。たとえば部品結合部の接触・非接触があいまいな個所や局所的に大きな振幅を伴う箇所などはハンマリング試験の精度を低下させるため、あらかじめ可能な限り対策を講じておきます。ハンマリング試験はそれ自体とてもシンプルな手法ではありますが、供試体の前処理状態によっては結果が大きく変動するという特徴があります。

モデルコリレーションは正しい実験から-01

解析精度向上における実験の重要性

NX Nastranで振動解析を行う場合、正しいモデル化を行えば実機振動を高い精度で再現することができます。しかし、複数の部品で構成された構造物に関しては、解析結果が実験結果を精度良く再現しない場合があります。原因は多くの場合、実機が持つ部品結合部の非線形性やそれによる実験データの精度低下にあります。解析精度向上を目的に行うモデルコリレーションを前提に実験のポイントをご紹介します。

1) 実験データの精度向上

モデルコリレーションは実験データを衝(ショウ)に行いますが、もし、再現しようとする実験データの精度が低い場合、コリレーション精度も低下します。実験データの精度は具体的には「線形性の高さ」、即ちどれくらい非線形性を抑えたデータ計測ができるかによって決まります。一般的な振動解析は線形を前提としているため、非線形性の強い実験データは元来再現できません。解析精度を向上させるためには、線形性良好な実験データを得ることがはじめの一歩となります。

線形はXがどのように変化しても変数「a」は一定ですが、非線形は変数が変化します。変数が一定となるように実験することが大切です。