フュエルポンプの低騒音化 – 振動設計(構造検討と動特性の予測)

フュエルポンプ(燃料ポンプ)にインシュレータを装着した場合、ブラケットの大型化やインシュレータ追加による共振周波数の低下が予想されます。そこで、この共振周波数がどの程度低下するかをシミュレーションによって予測することとしました。具体的には、前回構築したコリレーション済みベースモデルをもとにブラケット部分を新しいブラケットモデルに差し替えてNX Nastranによる振動シミュレーション(ノーマルモード解析=固有値解析)を行いました。

Figure 4.1はベースモデルのブラケット部分を新しいブラケットモデルに差し替えたた場合のノーマルモード解析結果です。共振周波数がベースモデルの18.5ヘルツから14.6ヘルツまで低下する結果が示されました。

Figure 4.1. シミュレーション結果 / 新しいブラケット仕様 / 固有モード / 14.6 [Hz] / 上下曲げ1節

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20ヘルツ以下にはバネ下共振やエンジンシェイクが存在しているため、念のためフュエルポンプ系の共振点を20ヘルツ以上に引き上げることを前提に追加構造の検討を行うこととしました。現状構造の片持ち支持を両端支持とすべくサポートブラケットを追加した構造をモデル化して共振周波数を予測した結果、35.4ヘルツまで上昇することがわかりました。(Figure 4.2、Figure 4.3) この周波数であれば20ヘルツ以上であるだけでなく、アイドル起振力周波数からも十分に離れるため、追加したサポートブラケットの剛性および減衰要件を満たすよう具体的構造を設計・製作することとしました。

Figure 4.2. シミュレーションモデル / 新しいブラケット + サポートブラケット

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Figure 4.3. シミュレーション結果 / 新しいブラケット + サポートブラケット / 固有モード / 35.4 [Hz] / 上下曲げ1節

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次回は新しいブラケット(およびサポートブラケット)にフュエルポンプおよびインシュレータを装着し、車両に搭載した状態でのモーダル実験の結果をリポートさせていただく予定ですので、もしよろしければ改めてご訪問いただけましたら幸いです。

フュエルポンプの低騒音化 – ブラケットの振動シミュレーション(モデルコリレーション)

フュエルポンプ(燃料ポンプ)にインシュレータを装着した場合、ブラケットの大型化やインシュレータ追加による共振周波数の低下が予想されます。そこで、この共振周波数がどの程度低下するかをシミュレーションによって予測することとしました。具体的には、Step 1) 現状構造をモデル化し(ベースモデル)、Step 2) ベースモデルのブラケットを新しいブラケットモデルに差し替えてNX Nastranによるノーマルモード解析(固有値解析)を行いました。本記事ではStep 1)の結果についてリポートいたします。

Figure 3.1はベースモデルの周波数応答解析結果(伝達関数=イナータンス)を実験データと比較したグラフです。横軸が周波数(振動の速さ)、縦軸が加速度/力(振動の大きさ)を表します。実験の18ヘルツ近傍に対し、シミュレーションは23Hz近傍にピークが現れており、約25%共振周波数が高くなっています。

Figure 3.1. 周波数応答(イナータンス) / 実験(Test) vs. シミュレーション(Sim) / 加振点・応答点:Figure 3.2

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Figure 3.2. 加振点=応答点

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ブラケットを取り付ける車体側フランジの塗膜を剥がしたところ、部分的に錆が発生し、それにより板厚が最大で20%ほど低下していることが判明したため、フランジを詳細に計測して算出した平均板厚をモデルに反映し微調整した結果、Figure 3.3のように実機特性を再現することができました。(モデルコリレーション) 着目する18ヘルツ近傍をみると、シミュレーション(Sim)のほうが実験(Test)よりピーキー(鋭い山)になっています。これは実験ではフュエルホースが装着された状態で計測したことで減衰が大きくなるのに対し、シミュレーションではそれがモデル化されていないことによって生じた差異と思われます。また、シミュレーションのマスラインが実験データを再現していませんが、これは、実験が車両状態で行ったものであるのに対し、シミュレーションはフュエルポンプ系のみで行っていることから生じる差異です。(100Hz以上まで検討する場合はこの部分の再現性も考慮します)

Figure 3.3. 周波数応答(イナータンス) / 実験(Test) vs. シミュレーション(Sim) / 加振点・応答点:Figure 3.2

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18ヘルツ近傍のピークは実験ではブラケットの上下曲げ1節(セツ)モードでしたが(Figure 3.4)、シミュレーションも同様な固有モードが現れており(Figure 3.5)、概ねこのモデルをベースモデルとして検討をすすめても問題なさそうであることがわかりました。

Figure 3.4. 実験結果 / 固有モード / 18.5 [Hz] / 上下曲げ1節
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Figure 3.5. シミュレーション結果 / 固有モード / 18.5 [Hz] / 上下曲げ1節

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次回はベースモデルのブラケットを新しいブラケットモデルに差し替えた場合のシミュレーション結果(Step 2)をリポートさせていただく予定ですので、もしよろしければ改めてご訪問いただけましたら幸いです。