振動実験 – 2 インパルスハンマ

ハンマリング試験で用いるインパルスハンマについてご紹介いたします。

ハンマリング試験でもっとも大切なことは伝達関数(周波数応答波形:Figure 2.1)を精度よく計測することです。

Figure 2.1. 伝達関数

具体的には、供試体の振動を十分励起できる力で加振して、共振点(共振周波数 = 固有振動数において波形がピーク状となる頂点)のゲインがもっとも明瞭に現れる状態でデータの取り込みを行います。このため、供試体の大きさや質量に応じてインパルスハンマ(Figure 2.2)を変えて最適な力で加振し、取り込みレンジを調整します。インパルスハンマは本計測の前に試し打ちを行って選定しますが、取り込みレンジは計測点ごとに都度調整します。これは計測点によって応答レベルが異なるからです。(振動振幅が異なるため)

Figure 2.2. インパルスハンマの種類

供試体全体の振動を励起するには大きなインパルスハンマを用いて大きな力で加振すればよいのですが、小さな供試体を大きなハンマで加振すると供試体自体が剛体変位(バウンドなど)しやすくなり逆に振動の励起が不十分となってしまいます。したがって、供試体が小さくなるほどインパルスハンマも小さなサイズを用いることになるのですが、インパルスハンマが小さくなるほど供試体にヒットした際、2度打ちしやすくなって伝達関数の精度が低下するため注意を要します。これをダブルハンマリングといいますが、ダブルハンマリングとなった場合は一旦データを削除して計測し直します。