「テクニカルコラム」カテゴリーアーカイブ

バー要素(梁要素)のご紹介

バー要素が使われる箇所

近年では使用頻度が少なくなってきているバー要素ですが、押し出し型材を組み合わせて構成される大型構造物では、まだまだバー要素が用いられています。部材結合部の局所的な剛性を再現する上ではソリッド要素でモデル化する方が有利ではありますが、節点数が膨大となって計算時間がかかってしまいます。バー要素は計算機の性能が今ほど高くなかった30年ほど前までは短時間で結果を出せるという点で様々な構造モデルで使用されていました。

バー要素のその他のメリット

断面積、断面2次モーメント、およびねじり定数(断面2次極モーメント)で構造を表現できるバー要素は、簡単な断面形状であれば暗算でも曲げ剛性やねじり剛性を算出できます。このような暗算は解析結果の妥当性をチェックする上でとても役立ちます。「断面2次モーメントが何パーセント変化したから共振周波数は何パーセント程度変化するはず」といったようにチェックすることができます。これは共振周波数を実測する場面では、計測される周波数がおおよそ何ヘルツくらいになりそうかを予測することができるため、実験結果の妥当性チェックにも役立ちます。

BNC ケーブルの取り扱い – ハンマリング試験への影響

ハンマリング試験においてインパルスハンマ(インパクトハンマ)や加速度ピックアップ(振動センサ)をFFTに接続する際にBNCケーブルを使用します。

BNCケーブルはBNCプラグ(コネクタ)、導線(信号線)、絶縁体、および外皮から構成されるケーブルのことです。外皮にはPVC、ポリウレタン、テフロンなどが用いられています。ケーブル自体はしっかりした外皮で覆われており安心感があるのですが、一方で、長いケーブルを取り廻す際には少し注意を要します。

ハンマリング時に正常にトリガーがかからない、または加速度信号に大きなノイズが生じるような場合、BNCケーブルの接触不良が関与していることがあります。この接触不良は、詳しく調べたわけではありませんが、ケーブルのねじれによってBNCプラグ結線部で導線が回転することによって生じているようです。この接触不良はしばらくすると改善し、またしばらくすると発生するという定常性に乏しいことが多いため、なかなか気づきにくく、ハンマリングの仕方に原因があるように思って何度も計測をやり直して時間を浪費してしまうことがあります。

このようなBNCケーブルの接触不良を防ぐには、BNCプラグとケーブルの結線部に生じるねじれを極力小さくすることです。特にケーブルを巻いて収納する際にはねじれやすいので、無理な巻き方を避けるなど慎重さが求められます。

実稼働振動の計測

モータやエンジンなど回転機械が実際に稼働しているときの振動のことを実稼働振動といいますが、日ごろから実稼働振動を把握しておくことは機械の運用においてとても大切です。

最近、「音が大きくなったような気がする」、「加工不良が多くなったような気がする」といった「気がする」は機械の故障の前兆であることが多く、そういった感覚を活かすためには定期的に実稼働振動を計測して数値化しておくことが有効です。

モータやエンジンなどの起振源が稼働しているときの振動はとても複雑な波形となり、一見ランダムな波形のように見えますが、測定点や回転数といった計測条件を決めておくことで、新品のときには無かった周波数に大きな振動ピークが現れたり、ある特定の周波数の振動レベルが大きくなるなど、様々な変化を把握することができます。

新たな周波数に振動ピークが現れる場合は、起振源やその周辺構造に変形や破損が生じている可能性があることを示し、振動レベルが大きくなっている場合は、アンバランス量が大きくなっている可能性があることを示します。

飛行機の舵面の動き

書籍「零戦の振動」の補足情報として、舵面(操舵面:エルロン, エレベータ, ラダー, フラップ)の動きがおわかりいただける動画をYouTubeチャンネルに掲載させていただきました。ご参考にしていただけましたら幸いです。

飛行機の舵面は小型機から大型機まで、この零戦の動画と同じ動き方をします。そして、ご存じの方も多くいらっしゃることと思いますが、大型機の場合は、さらにスポイラおよびスラットという舵面が主翼に装着され、減速やターンをアシストするように作動します。

※ターンの最中、実機では高度低下を防ぐためにエレベータをアップにしますが、模型ではその動きが再現できておりませんので、その旨ご留意ください。