「テクニカルコラム」カテゴリーアーカイブ

動剛性向上による低振動化

上図のようなコンテナの壁面振動を低減するためには、壁面にリブ形状の補強を追加するのが有効ですが、コンテナ自身の質量増加を招く上、リブの高さの分、格納できる荷物が減ってしまいます。

そこで、質量増加を最小限に抑えつつ極力内部容積に影響しない低振動化が求められます。このような場合、コンテナが固定される数か所の部位の動剛性を向上させることで壁面振動のゲインを低下させる手法が有効となります。

動剛性というのは、振動モードが関与して決まる剛性で、静剛性のように補強を追加すれば動剛性も向上しますが、それにとどまらず、固有モード形態を変えてやることでも動剛性を向上させることができるため、質量増を最小限に抑えた低振動化に貢献します。

自動車のこもり音解析(連成解析)

自動車の車室内に存在する空気は車体の共振周波数近傍で圧力変動が増大し、乗り心地を低下させるこもり音(Booming Noise)の原因となります。また、車室内の容積や形状で決まる空洞共鳴周波数が車体の共振種周波数に近接している場合にも圧力変動が大きくなります。


セミモノコック車、フレーム車ともにルーフやフロアといった主要発音パネルの振動低減によりこもり音(圧力変動)を改善させることができますが、多くの場合、質量増大を招いてしまいます。


そこで、セミモノコック車はサブフレームを含めた振動系、フレーム車はフレームを含めた振動系で各々構造と音響(音場)の連成解析(シミュレーション)を行います。これによりトリムアップされただけの車体やキャブのみで行う場合に比べ、質量増大を抑えたより効率的な構造検討が可能となります。

エアロメカでは、自動車のアイドルこもり音やドラミング音をはじめ、各種車室内騒音に関する解析シミュレーション、ならびに構造変更検討による騒音低減構造の算出を承っております。

画像の図はデモンストレーション用モデルによる車室内空洞共鳴のシミュレーション結果です。

Femap with NX Nastranによる振動解析トレーニング – セルフラーニング(在宅ワーク)

実際にNastranを使用した演習を通して振動解析の基礎と実務への応用法を学んでいただく講座(在宅トレーニング、セルフラーニング)です。具体的には例題構造について、周波数応答解析により振動レベルを把握し、その振動がなぜ大きいのか、そのメカニズムをノーマルモード解析(共振周波数・固有振動数、固有モード)によって解析します。本プログラムの最大の特徴は「実務で即役立つ」スキルの習得です。振動解析の考え方を学ぶだけでなく、受講者様自身で実際にソフトウェアを動かしながら解析に必要な各種技能、たとえば解析ジョブの実行や解析結果の表示方法などを知っていただけるよう構成されています。

.

テキストのまえがきより

「振動解析に関する本を読んでも、いまひとつよくわからない」そうした悩みを持 っている方は決して少なくないのでは 、と思います。いまこ うしてテキストを書いている筆者自身もかつてはそうでした。しかし振動解析をある程度経験すると、その理由が徐々にわかってきました。今振り返ってみると、振動につきものの「周波数」というものを日常生活の中でほとんど考えたことがなかったのが原因だったように思います。「大きな力は大きな変形」、「小さな力は小さな変形」というのは誰もが持っている感覚ですが、「周波数」についてはこのような感覚的な物理量として認識できていなかったように思うのです。ですから、振動解析をはじめ る上でのはじめの一歩としては、まずは振動解析に慣れることだと思います。つまり、「習うより、慣れる」と同じで、体験によって感覚=エンジニアリングセンスを養うのです。本講座はその目的を果たせるよう、シミ ュレーションツールを使って振動解析を体験的に学んでいただけるよう構成しました。とにかくまずはやってみること! これが一番の近道だと思います。

Figure 1.1. 本プログラムで扱う例題モデルの振動シミュレーション結果 / ノーマルモード解析(固有モード解析)
Figure 1.2. 本プログラムで扱う例題モデルの振動シミュレーション結果 / 周波数応答解析 ※例題モデルは随時更新しています。最新の例題モデルではピーク特性が画像とは異なっています。

振動シミュレーションのポイント – 3 – 取り付け点剛性(動剛性)

振動設計で解析シミュレーションを活用するにはシミュレーション精度が重要となりますが、その精度は主として以下3つの要素が実機特性を再現することで向上していきます。

1) コンポーネントの振動特性

2) 重量物の慣性特性

3) 取り付け点剛性(動剛性)

上記3つの要素について、Figure 1.1のような風車構造を例に各々具体例を挙げてご説明します。本記事では「2) 重量物の慣性特性」についてご紹介します。

.

Figure 1.1. 例題構造 / 風車

.

3) 取り付け点剛性(動剛性)

ここまでご紹介いたしました括弧1および括弧2のようにして実機単体の動特性が再現された風車全系モデルを実際の運用形式である設置面にアンカーボルトで固定すべく拘束条件を定義します。すると風車単体では良好に実機特性を再現できていたにもかかわらず実機の伝達関数を再現しない場合があります。これは、ベースプレートの取り付け点剛性が定義されていないことが原因です。ベースプレートはアンカーボルトで固定されていない状態では自由に振動できるため、その振動モードは比較的プレート全体の曲げやねじりとなりますが、アンカーボルトで固定されると、ボルト近傍の局所的な変形を伴う振動モードとなり、ベースプレートのボルト穴近傍の局所的な剛性「取り付け点剛性」の寄与が大きくなります。このため、ベースプレートを固定した状態では全系の振動モードが再現されず伝達関数にもFigure 3.1のような差異が生じます。取り付け点剛性はイナータンスのバネラインから求めることができるため動剛性と呼ばれます。動剛性は詳細な有限要素モデルで算出できる他、実機の加振実験からもある程度算出することができます。

.

Figure 3.1. シミュレーション結果 / 風車全系の伝達関数(周波数応答) /
ベースプレート取り付け点剛性:定義無し(赤色実戦)vs. 定義有り(緑色破線)