早稲田大学エクステンションセンター夏期講座のご案内

いつもご覧くださり、ありがとうございます。この度、早稲田大学エクステンションセンター様の夏期講座のひとつとして、「零戦の振動」に関するお話をさせていただくこととなりましたので、僭越ながらご紹介させていただきます。

当センター様は、1981年の発足から40年以上にわたり公開講座を広く一般に提供なさってこられた由緒ある教育機関で、そのような貴重な学びの場において夏期講座に携わらせていただけることになり、とてもありがたく思っております。

講座は7月3日から8月7日までの週1回、全6回で構成されています。開催場所は早稲田大学様の早稲田キャンパス(東京都新宿区)になります。

零戦の開発を通して成し遂げられた日本の技術革新について、少しでも多くの方々にお伝えできるよう、さまざまな工夫を織り込んでご紹介させていただく所存です。もしご関心がおありでしたら、お手数ではございますが早稲田大学エクステンションセンター様の開催概要ページをご覧いただけましたら幸いです。

#1 / 2024年7月3日(水)10:40~12:10

#2 / 2024年7月10日(水)10:40~12:10

#3 / 2024年7月17日(水)10:40~12:10

#4 / 2024年7月24日(水)10:40~12:10

#5 / 2024年7月31日(水)10:40~12:10

#6 / 2024年8月7日(水)10:40~12:10

講師ご挨拶

BNC ケーブルの取り扱い – ハンマリング試験への影響

ハンマリング試験においてインパルスハンマ(インパクトハンマ)や加速度ピックアップ(振動センサ)をFFTに接続する際にBNCケーブルを使用します。

BNCケーブルはBNCプラグ(コネクタ)、導線(信号線)、絶縁体、および外皮から構成されるケーブルのことです。外皮にはPVC、ポリウレタン、テフロンなどが用いられています。ケーブル自体はしっかりした外皮で覆われており安心感があるのですが、一方で、長いケーブルを取り廻す際には少し注意を要します。

ハンマリング時に正常にトリガーがかからない、または加速度信号に大きなノイズが生じるような場合、BNCケーブルの接触不良が関与していることがあります。この接触不良は、詳しく調べたわけではありませんが、ケーブルのねじれによってBNCプラグ結線部で導線が回転することによって生じているようです。この接触不良はしばらくすると改善し、またしばらくすると発生するという定常性に乏しいことが多いため、なかなか気づきにくく、ハンマリングの仕方に原因があるように思って何度も計測をやり直して時間を浪費してしまうことがあります。

このようなBNCケーブルの接触不良を防ぐには、BNCプラグとケーブルの結線部に生じるねじれを極力小さくすることです。特にケーブルを巻いて収納する際にはねじれやすいので、無理な巻き方を避けるなど慎重さが求められます。

実稼働振動の計測

モータやエンジンなど回転機械が実際に稼働しているときの振動のことを実稼働振動といいますが、日ごろから実稼働振動を把握しておくことは機械の運用においてとても大切です。

最近、「音が大きくなったような気がする」、「加工不良が多くなったような気がする」といった「気がする」は機械の故障の前兆であることが多く、そういった感覚を活かすためには定期的に実稼働振動を計測して数値化しておくことが有効です。

モータやエンジンなどの起振源が稼働しているときの振動はとても複雑な波形となり、一見ランダムな波形のように見えますが、測定点や回転数といった計測条件を決めておくことで、新品のときには無かった周波数に大きな振動ピークが現れたり、ある特定の周波数の振動レベルが大きくなるなど、様々な変化を把握することができます。

新たな周波数に振動ピークが現れる場合は、起振源やその周辺構造に変形や破損が生じている可能性があることを示し、振動レベルが大きくなっている場合は、アンバランス量が大きくなっている可能性があることを示します。

飛行機の舵面の動き

書籍「零戦の振動」の補足情報として、舵面(操舵面:エルロン, エレベータ, ラダー, フラップ)の動きがおわかりいただける動画をYouTubeチャンネルに掲載させていただきました。ご参考にしていただけましたら幸いです。

飛行機の舵面は小型機から大型機まで、この零戦の動画と同じ動き方をします。そして、ご存じの方も多くいらっしゃることと思いますが、大型機の場合は、さらにスポイラおよびスラットという舵面が主翼に装着され、減速やターンをアシストするように作動します。

※ターンの最中、実機では高度低下を防ぐためにエレベータをアップにしますが、模型ではその動きが再現できておりませんので、その旨ご留意ください。