モデルコリレーションは正しい実験から-02

解析精度向上における実験の重要性

NX Nastranで振動解析を行う場合、正しいモデル化を行えば実機振動を高い精度で再現することができます。しかし、複数の部品で構成された構造物に関しては、解析結果が実験結果を精度良く再現しない場合があります。原因は多くの場合、実機が持つ部品結合部の非線形性やそれによる実験データの精度低下にあります。解析精度向上を目的に行うモデルコリレーションを前提に実験のポイントをご紹介します。

1) 実験データの精度向上

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2) 実験供試体の前処理

実験データの線形性を確保するには、実験供試体の持つ非線形性を極力無くしておくことが大切になります。たとえば部品結合部の接触・非接触があいまいな個所や局所的に大きな振幅を伴う箇所などはハンマリング試験の精度を低下させるため、あらかじめ可能な限り対策を講じておきます。ハンマリング試験はそれ自体とてもシンプルな手法ではありますが、供試体の前処理状態によっては結果が大きく変動するという特徴があります。

モデルコリレーションは正しい実験から-01

解析精度向上における実験の重要性

NX Nastranで振動解析を行う場合、正しいモデル化を行えば実機振動を高い精度で再現することができます。しかし、複数の部品で構成された構造物に関しては、解析結果が実験結果を精度良く再現しない場合があります。原因は多くの場合、実機が持つ部品結合部の非線形性やそれによる実験データの精度低下にあります。解析精度向上を目的に行うモデルコリレーションを前提に実験のポイントをご紹介します。

1) 実験データの精度向上

モデルコリレーションは実験データを衝(ショウ)に行いますが、もし、再現しようとする実験データの精度が低い場合、コリレーション精度も低下します。実験データの精度は具体的には「線形性の高さ」、即ちどれくらい非線形性を抑えたデータ計測ができるかによって決まります。一般的な振動解析は線形を前提としているため、非線形性の強い実験データは元来再現できません。解析精度を向上させるためには、線形性良好な実験データを得ることがはじめの一歩となります。

線形はXがどのように変化しても変数「a」は一定ですが、非線形は変数が変化します。変数が一定となるように実験することが大切です。

三相モータ(三相誘導電動機)の振動計測

モータの振動には、ポール数などから決まる次数成分に加え、モータケースに装着される部品の共振も現れるため、起振力周波数を確認する際はそれらを総合的に分析する必要が生じます。

定速実稼働時の振動加速度振動レベル(FFT波形)のみから次数成分の把握が困難な場合にはハンマリングによる共振点のチェックが有効な手段となります。

もし何らかの共振点がモータの次数成分と近接している場合は回転数や共振点を変化させることで振動レベルの低下が予想されるため、様々な運転条件で計測し、その推定の妥当性をチェックします。