3) 固定部の取り付け点剛性(局所剛性)
フレーム構造の振動が実測値を再現しているにもかかわらず、そのフレーム構造が地面に固定された状態では実測値を再現しないことがあります。これは、フレーム構造の固定部が持つ局所的な剛性が再現できていない場合に生じます。ボルト穴近傍の構造は、ボルト固定されていないフリーな状態ではさほど振動特性に影響を及ぼしませんが、ボルト固定された時点で局所剛性が振動特性に関与するようになります。このため、固定部の局所剛性が再現できていないとボルト穴近傍の局所的な変形を伴う振動モードは再現されないことになります。例題構造のフレーム部材はビーム要素であるため、固定部の局所剛性は元来、再現できません。このため、固定部を単純に地面に固定すると本来の構造が持つ剛性をはるかに超える剛性で固定されたこととなり、Figure 3.1の「取り付け点剛性定義無し」のように共振点が全体的に高周波側へ移動していきます。(Figure 3.1)
部材をシェル(板)要素やソリッド要素でモデル化した場合は、ボルト穴近傍の局所剛性も表現できるようになりますが、ビーム要素の場合はバネ要素を用いて表現します。(FIgure 3.2)