「テクニカルコラム」カテゴリーアーカイブ

Femap with NX Nastranによる振動解析トレーニング – セルフラーニング(在宅ワーク)

実際にNastranを使用した演習を通して振動解析の基礎と実務への応用法を学んでいただく講座(在宅トレーニング、セルフラーニング)です。具体的には例題構造について、周波数応答解析により振動レベルを把握し、その振動がなぜ大きいのか、そのメカニズムをノーマルモード解析(共振周波数・固有振動数、固有モード)によって解析します。本プログラムの最大の特徴は「実務で即役立つ」スキルの習得です。振動解析の考え方を学ぶだけでなく、受講者様自身で実際にソフトウェアを動かしながら解析に必要な各種技能、たとえば解析ジョブの実行や解析結果の表示方法などを知っていただけるよう構成されています。

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テキストのまえがきより

「振動解析に関する本を読んでも、いまひとつよくわからない」そうした悩みを持 っている方は決して少なくないのでは 、と思います。いまこ うしてテキストを書いている筆者自身もかつてはそうでした。しかし振動解析をある程度経験すると、その理由が徐々にわかってきました。今振り返ってみると、振動につきものの「周波数」というものを日常生活の中でほとんど考えたことがなかったのが原因だったように思います。「大きな力は大きな変形」、「小さな力は小さな変形」というのは誰もが持っている感覚ですが、「周波数」についてはこのような感覚的な物理量として認識できていなかったように思うのです。ですから、振動解析をはじめ る上でのはじめの一歩としては、まずは振動解析に慣れることだと思います。つまり、「習うより、慣れる」と同じで、体験によって感覚=エンジニアリングセンスを養うのです。本講座はその目的を果たせるよう、シミ ュレーションツールを使って振動解析を体験的に学んでいただけるよう構成しました。とにかくまずはやってみること! これが一番の近道だと思います。

Figure 1.1. 本プログラムで扱う例題モデルの振動シミュレーション結果 / ノーマルモード解析(固有モード解析)
Figure 1.2. 本プログラムで扱う例題モデルの振動シミュレーション結果 / 周波数応答解析 ※例題モデルは随時更新しています。最新の例題モデルではピーク特性が画像とは異なっています。

What’s Nastran?

Nastran(ナストラン)というのは、1960年代にアメリカで誕生した構造解析用ソフトウェアのことで、NAsa STRuctural ANalysis(NASA構造解析)を略した製品名称です。航空産業のみならず世界中の製造業で使用されています。

Nastranには同じ名称でいくつかの種類があります。NX NastranやMSC Nastranなど、他にもいくつかありますが、いずれも、最初は同じような機能を持って誕生し、その後独自の機能を有するようになっています。NXやMSCはブランド名もしくは企業名です。

エアロメカではシーメンスPLMソフトウェア社様のNX Nastranを使用しています。

Grid & Element

エアロメカでは有限要素法を用いた様々なコンピュータシミュレーションを行っていますが、今日は、その有限要素法についてのご紹介です。

有限要素法とは、Finite Element Methodの和訳です。具体的には、本記事のタイトルにもありますように、GridとElementを用いて構造を表現するシミュレーション手法のことです。Grid(グリッド)は”節点”、Element(エレメント)は”要素”として各々和訳されています。

この節点と要素で構造物を細かく分割したものを”メッシュ”と呼び、メッシュ分割された構造をメッシュモデルと呼んでいます。たとえば、Figure 1のような平板のメッシュモデルはFigure 2のようになります。

plate2_surface
Figure 1. 平板

 

plate2b_mesh
Figure 2. メッシュモデル

 

この平板に力を加えたときの変形量を知りたい場合、メッシュモデルに力を定義して有限要素法ソフトウェア(NX Nastran)で計算すると、Figure 3のような結果が表示されます。

plate2_contour
Figure 3. 変形図

 

Figure 3は板の中央部に力を加えたときの変形図ですが、このようなシンプルなケースでは手計算でもある程度結果を見積もることができます。しかし複雑な構造の場合、たとえば自動車の車体のように3次元形状をしているパネルが何枚も接合された構造では、手計算からその変形状態を求めるのは大変な作業になりますので、有限要素法が極めて有効な手段になります。

有限要素法はいまや製造業では必須の設計ツールといってもよいほど様々な産業分野で広く活用されています。